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 内臓脂肪がなぜいけないのか

メタボリックシンドロームを引き起こす内臓脂肪

ピンク色は内臓脂肪

    

 脂質,血圧,血糖を高めてしまう内臓脂肪


 
メタボリックシンドロームは内臓脂肪症候群とも言われていますが,内臓脂肪が過剰に蓄積されると,この内臓脂肪の影響で,脂質代謝異常,高血圧,高血糖が引き起こされます。

 内臓脂肪が蓄積している場合,肝臓にも蓄積されているケースが多く,脂肪肝となっていることもしばしば見られます。

 肝臓にたまった脂肪はなかなか取り除くことができず,自覚症状もほとんど無いために,肝臓が腫れることにより,肝機能低下と共に肝炎を引き起こし,やがては肝硬変や肝臓がんを発症してしまうこともあり,注意が必要です。



● 内臓脂肪と脂質異常の関係

 
内臓脂肪は体内の余剰エネルギーを脂肪という形で蓄える組織です。脂肪はグリセロール(グリセリン)と3つの脂肪酸が結合した物質で中性脂肪(トリグリセライド)とも呼ばれます。

 内臓脂肪が肥大化すると,脂肪組織から脂肪酸が遊離脂肪酸として放出され,一部はエネルギーとして消費されますが,肝臓に流れ込んだ遊離脂肪酸は脂肪に変換され,血液中に放出されます。

 その結果,血液中の中性脂肪は増大し,高中性脂肪血症となるのです。この中性脂肪とHDL(善玉)コレステロールは反比例の関係にあり,中性脂肪が増えることにより,HDLコレステロール量が減り,動脈硬化が促進されます。

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 高血中脂肪はレムナントリポタンパクを増加させ,これが動脈壁の緊張を亢進させると共に,血管内皮接着因子を発現させ,動脈硬化が促進されます。

 また,近年の研究によりLDL(悪玉)コレステロールの中でも,特に粒子の小さいSLDL(Small dense LDL)がより酸化されやすく,動脈硬化をもたらす弊害が大きいということがわかりましたが,中性脂肪はこのSLDLコレステロールをも増加させてしまいます。

 一方で肝臓で合成される脂肪は,血液中に放出されますが,それでも多くなりすぎると肝臓の中に脂肪が蓄積され,これが過剰になると脂肪肝と言われる症状になります。



 内臓脂肪と高血圧の関係


 高血圧は,いくつかの要因があり,遺伝,塩分過剰摂取,肥満などが原因となる本態性高血圧と,ホルモン分泌異常,血管狭窄,心臓病などの疾病による2次性高血圧とに区分されます。

 メタボリックシンドロームで問題となる高血圧は肥満による内臓脂肪増大が原因となる本態性高血圧です。

 肥満により内臓脂肪が増加すると,大型の脂肪細胞が増え,この細胞から分泌される悪玉生理活性物質の1種アンジオテンシノーゲンは高血圧をもたらします。 それだけでなく,TNF−α,レジスチンはインスリン抵抗性を増大させます。
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 インスリンは膵臓から分泌されるホルモンであり,ブドウ糖を細胞の中に取り込むはたらきがありますが,内臓脂肪から分泌される悪玉生理活性物質はこのインスリンの効きを悪くしてしまいます。

 その結果,血糖値が上昇するだけでなく,この高血糖を下げようと膵臓はますますインスリンの分泌をさかんにします。

 その結果,インスリン過剰となり,水分や塩分が体内に蓄積しやすくなり,交感神経興奮状態,血管細胞増殖などが引き起こされ,高血圧となります。

 高血圧の状態が長く続くと,血管壁が傷つくことで動脈硬化を促進させ,これが狭心症や心筋梗塞さらには脳卒中などの重大な疾病につながるのです。



  内臓脂肪と高血糖の関係

 
内臓脂肪と高血圧の頁でも解説しましたが,肥満により内臓脂肪が増加すると,脂肪細胞から分泌される悪玉生理活性物質がインスリン抵抗性を増大させます。

 このインスリンの効きが悪くなることで,血液中のブドウ糖は細胞に取り込まれにくくなり,血液中の糖分が異常に増加する高血糖となります。

 この血糖値が高い状態は,血液中の過剰なブドウ糖が血管壁を傷つけ,そこからコレステロールが入りこむことで動脈硬化が促進されます。

 この高血糖を改善しようと膵臓は大量のインスリンを分泌しますが,やがて膵臓も疲弊し,インスリンが分泌されなくなってしまいます。このようにして血糖を正常に保てない糖尿病へと進んでしまいます。
    
 この糖尿病は手足のしびれなどの神経障害,壊疽,網膜障害からの失明,腎臓障害などの合併症を引き起こします。 

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 このように内臓脂肪が増加することで,血中の脂質が増大し,内臓脂肪から分泌される悪玉生理活性物質により高血圧,高血糖がもたらされます。

 さらにこれらが放置されたままでいると,動脈硬化が進み,やがて心筋梗塞や脳血管障害などの症状となり,これらは生命の危険にも関わります。

 内臓脂肪はこのように生活習慣病を引き起こす大きな要因であり,これを減らすことがどれほど重要かおわかりいただけたかと思います。