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メタボリックシンドロームの原因

飲酒・お酒を飲む人のイラスト 暴飲暴食のイラスト
 ■ 最も大きな原因は食生活などの生活習慣


メタボリックシンドロームの人が増加している理由


 近年,肥満者が増加し,それと共にメタボリックシンドロームが問題視されるようになってきました。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(平成16年)の報告によると肥満の増加は特に男性に顕著で,40代では20年前より7.4%増加し,50代では8.6%も増加しています。

 メタボリックシンドロームの原因は複数あり,個人間でも異なりますが,社会全体を見てみると欧米型食事の普及による脂肪摂取量の増加やアルコール摂取量の増加が要因として考えられます。

 成人一人あたりのアルコール摂取量はたとえば1965年が5.8リットルだったものが1999年には8.8リットルにまで増加しています。
 
 ビールの場合,1日で1本,日本酒では1合程度でならば,適量といわれていますが,例えばビール1本(大瓶)のカロリーは約250キロカロリーほどもあります。

 このビールのカロリーを消費するには,ゴルフならば1時間,日本酒1合(約200キロカロリー)を消費するには,ジョギングして20分もの時間がかかります。


    

 また,コンピュータなど座ったままの仕事が増加し,身体的活動が減ったことやストレスの増加も要因として考えられます。

 では次に具体的にメタボリックシンドロームにつながると考えられる要因とそのメカニズムを具体的に説明していきたいと思います。


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メタボリックシンドロームの原因
 
 メタボリックシンドロームにはいくつかの要因があります。たとえば同じカロリーのものを摂取したとしても太る人とそうでない人がいるように,その人の体質,すなわち遺伝的な要素も大きな影響を与えます。

 要因には大きく分けて2つがあると考えられます。一つは遺伝子・人種・年齢・性別など,本人の体質に関わる要素であり,もう一つは食生活や運動など生活習慣に関わる要素です。


 
遺伝子 ・人種
 
メタボリックシンドロームに大きく関わっていると考えられる遺伝子が肥満遺伝子と呼ばれる
エネルギー代謝に関連する遺伝子です。

 現在,50を超えるエネルギー代謝関連遺伝子が発見されています。βaアドレナリン受容体(β3AR),脱共役たんぱく質1(UCP1)などの遺伝子変異が原因となって脂肪分解や基礎代謝の低下を招き,肥満やメタボリックシンドロームになりやすくなります。  
 
 
 β3ARは脂肪分解を活性化する受容体であり,この受容体に変異をもつ人は中性脂肪の分解が抑制され,基礎代謝量が低くなります。

 また,脱共役たんぱく質1(UCP1)の変異をもつ人は,エネルギーを燃焼させる多胞性脂肪細胞(褐色脂肪細胞)の働きが低下し,基礎代謝量が低くなります。

 日本人のおよそ3人に1人がβ3AR,4人に1人がUCP1の肥満遺伝子をもっていると推定されていることから意外に太りやすい体質の人が多いことがわかります。

 また,測定した腹囲が同じサイズであっても
欧米人と比較して日本人は内臓脂肪の占める割合が大きく,メタボリックシンドロームになりやすい人種でもあります。



  年齢 

 メタボリックシンドロームは加齢と共に増加し,70才代では20才代の17倍の人がメタボリックシンドロームになっています。

 このように加齢とともにメタボリックシンドロームが増加する理由として,まず基礎代謝量の低下があげられます。基礎代謝とは安静代謝ともいわれ,生命を維持するための最低限必要な代謝エネルギーをいい,1日の代謝量の60%〜70%をしめます。

 この基礎代謝量は男性では16才,女性では13才がピークでそれ以降は低下していきます。したがって,食事量を減らしたり,積極的な運動をこころがけなければ,余剰エネルギーは脂肪として蓄えられることになります。

 さらに,加齢と共に筋肉量が低下し,相対的に脂肪組織が増加するため,インスリン抵抗性が増えていきます。

 インスリンは血液中のブドウ糖を細胞内に取り込む作用があり,インスリン抵抗性が増えると膵臓からインスリンが血液中に分泌されているにもかかわらず,臓器のインスリンに対する感受性が低下し,ブドウ糖とインスリンとが筋肉などの組織に取り込まれにくくな
ります。
 
 インスリン抵抗性があると,インスリンの効きの悪さを補うため,インスリンが多量に分泌され,高インスリン血症を招きます。その結果,脂肪細胞のサイズや数が増え,さらなる肥満という悪循環につながってしまいます。
   
 



 性別

 性別ではメタボリックシンドロームの有病率は男性が女性の5倍もあります。この原因としては,男性ホルモンは内臓脂肪を蓄積しやすく,女性ホルモンは皮下脂肪を蓄積しやすいすいという違いがあるからです。

 また,他の原因として男性は早食い,食べ過ぎの人が多いことや,女性は男性に比べ,体型に気を配る人が多いことも関係しているようです。

 しかし,女性も更年期以降は女性ホルモンであるエストロゲンが減少して,体脂肪がつきやすくなり,基礎代謝の低下などにより,肥満者が増加していきます。






  生活習慣 
 
 メタボリックシンドロームは病気として分類はできませんが,誤った食生活や運動不足などの生活習慣によって引き起こされるケースが最も多い生活習慣病の一種とも言えます。したがって,この食生活を見直し,適切な運動をすることが最も重要と言えるでしょう。

 下記に示したものは2000年から2004年の間に慈恵会医科大学健診センターの人間ドック受診者の22,892名のデータです。

 飲酒,喫煙,食習慣,運動習慣,家族歴など29項目のアンケートの結果から得られた食生活や運動とメタボリックシンドロームとの関係を示しています。


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メタボリックシンドロームに関わる生活習慣
        ※オッズ比(1を基準に増加するほど悪化,低下するほど改善傾向)
ランク メタボリックシンドロームを悪化させる生活要因 オッズ比
第1位  食事量が多い 1.96
第2位  飲酒量1日3以上 1.79
第3位  早食い 1.64
第4位  動物性脂肪が多い 1.31
第5位  飲酒量1超3未満 1.29
第6位  過去に喫煙していた 1.18
第7位  現在喫煙している 1.17
第8位  夕食が外食のことが多い 1.04
            ※飲酒量1の数値はビール中瓶1本,日本酒は1合に相当

ランク メタボリックシンドロームを抑制する生活要因 オッズ比
第1位  1日1時間以上の早歩き 0.74
第2位  1日の仕事が8時間未満 0.77
第3位  バランスのとれた食事 0.80
第4位  週に1時間以上の運動 0.84

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メタボリックシンドロームと生活習慣の関係の解説

食べ過ぎ・早食い
 
メタボリックシンドロームを悪化させる第1位は食べ過ぎです。したがって食事のカロリーをいかに上手にコントロールするかということがメタボリックシンドローム対策では最も重要です。

 
 また第3位に早食いが入っていますが,体内に入った糖分は血液中に取り込まれ,血糖値が上昇します。これが脳の満腹中枢を刺激し,摂食中枢を抑制して,食欲を低下させます。
 
 しかし,食物が体内に入ってからこのメカニズムが機能するまでには30分以上かかるため,早食いの人は満腹と感じるまで,必要量以上の食べ物を摂取してしまうことになるのです。

 また良く噛むことは満腹中枢を刺激することにもなり,早食いの人は噛む回数が少ないため,この満腹中枢が刺激されにくく,食べ過ぎてしまうということがいえます。

 


アルコールの摂取
 第2位と第5位に飲酒が入っています。アルコールもカロリーを発生します。アルコールは1gで約5kcalを発生し,これは糖質やタンパク質の4kcalよりも多く,飲み過ぎは肝臓で中性脂肪の合成を促し,これがメタボリックシンドロームにつながるのです。

 さらにアルコールを飲みながら,食事をするとエネルギーとして,まずアルコールが消費され,糖分や脂肪分は余剰カロリーとして脂肪として蓄えられやすくなります。

 メタボリックシンドロームになる率は1週間の飲酒量がアルコール150g以下(毎日ビール中瓶1本相当)の人を基準にすると,151〜450gの人は1.3倍,450g以上(毎日ビール中瓶3本以上相当)の人では2倍にもなります。

 

 
喫煙
 喫煙は意外にも,メタボリックシンドロームを促進させる要因です。たばこに含まれるニコチンはインスリン抵抗性を高め,血液中のインスリン濃度を高めます。その結果,脂肪細胞のサイズや数が増え,メタボリックシンドロームにつながってしまいます。

 喫煙者は非喫煙者に比較して,メタボリックシンドロームになる確率が1.2倍になると言われています。この確率は1日にたばこを吸う本数に比例していきます。

 また,禁煙をした後も,注意をしなければなりません,禁煙直後は食べ物がおいしく感じられ,食べ過ぎたり,食べ物の消化・吸収もよくなるためです。

 それだけではありません。1日20本以上吸っていた人は禁煙後も20年間はメタボリックシンドロームにかかる危険性が高いと言われています。